第1章 プロローグ


夏休み最後の日曜日となった2003年8月31日、幻の鉄道「五新線」をたどるべく、11時に自宅を出発した。

12時20分、近鉄阿倍野橋駅、吉野行き特急は12時40分発
出発まであと20分とかなり余裕がある、というのも、
実は環状線の電車が途中の大正駅でトラブルのため11分遅れたのだ。
12時過ぎの特急に乗るつもりがとんだ足止めを食らってしまった!

僕は阿倍野橋駅の窓口でJR和歌山線との乗換駅である吉野口までの乗車券と特急券を買った。
売店で柿ノ葉寿司とペットボトルのお茶を買い込み、12時30分吉野行きの特急が入線した。

定刻12時40分阿倍野橋駅発車、列車は大阪市内の高架線を快調に走り抜けると大和川を渡り松原市内へと入った。

車内には夏休み最後の休日とあってほぼ満席の状態である。
やがて高見峠を越え奈良県内へ、尺土、高田市、橿原神宮前と主要駅にこまめに停車して乗客を降ろしてゆく。

そして13時30分吉野口駅到着、ここでJR和歌山線に乗り換えるのだが
問題は和歌山線の列車本数が極端に少なく、1時間に1本しか来ないことである。
最悪の場合は五条駅までタクシーを使うしかない。

しかし幸いなことに、時刻表を見ると13時47分と、20分の待ち時間に収まっている。

13時47分和歌山行きの列車が到着、約12分で五新線の起点である五条に到着した